Googleを越える勢いのFacebook

Googleを越える勢いのFacebook。そういわれても、あまりピンと来ない人が多いかもしれない。特に日本にいると、それほどFacebookのユーザーは多くないようなので、そう思われても仕方ないが、Facebookは今や世界で最も人気のソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)で、ユーザー数は4億人を越えている。日本では、SNSといえばMixiのほうがFacebookより有名かもしれないが。

Facebookのことを知っている人でも、Googleを越えるというのは、少々言い過ぎではないか、と思う人も多いだろう。Googleはすでに株式上場した企業で、売上高は236億ドルを越え、利益も65億ドル上げている超優良企業だ。それに比べ、Facebookはまだ株式上場もしていない。売上高は株式上場していないので、正確にはわからないが、まだせいぜい20億ドル止まりとの予想だ。Googleとは桁が違っている。

しかし、すでにFacebookがGoogleを越えているものがある。それは、ユーザーが、あるウェブサイトに行くとき、どこから行くか、というものだ。すべての場合にFacebookがGoogleに勝っているというわけではないが、例えばポータルサイトへ行く場合は、すでにGoogleからではなく、Facebookから行く場合のほうが多くなっている。それも、シェアでみると、Facebookの14.80%に対し、Googleは7.24%と、大きく差が開いている。

また、サイトにいる時間、というもので見ると、この1月の統計で、Facebookはユーザーあたり月に7時間強、これに対しGoogleは約2時間と、これも大きな差をつけている。そして、サイトへのビジター数でも、ついこの3月13日までの1週間では、Facebookが市場シェアの7.07%と、Googleの7.03%をわずかに抜いた。サイトへのユニーク・ビジター数では、まだGoogleが1億4800万とFacebookの1億3400万を若干リードしているが、Facebookの最近の急成長を考えると、Googleを抜くのも時間の問題だろう。

Facebookの最近の成長はめざましく、ユーザー数が4億人を越えたのは、この2月だが、2億人を越えたのは、つい昨年4月のこと、1億人を越えたのは2008年8月だ。この1年半でユーザー数が4倍になったことになり、成長率にすると年率150%以上だ。

これまで、自社サイトにユーザーを誘導するため、Googleのようなサーチエンジンのサーチ結果で、いかに上のほうにランクされるかが重要な問題だった。そのため、search engine optimizationという言葉もあり、どのような工夫をすれば、自分のサイトがサーチ結果で上のほうにランクされるかが多く議論され、そのためのツールや支援サービスも活発だ。企業にとって、このsearch engine optimizationは今後も重要だが、これからはそれに加え、SNS等のsocial mediaからいかに自社サイトに人を誘導するかというsocial-media optimizationが重要になってきた。

実際、何かを探したいキーワードを持っている場合は、そのキーワードでサーチし、適切なサイトを見つけることができるが、そのようなものが特にないときでも、知り合いから「これ面白いよ」という情報をもらえば、ついそのサイトに行くという場合も多い。こういうものは、サーチで見つけるのではなく、Facebookのようなところで友人が言っていることを聞いて、面白そうだから、ちょっと見てみよう、というものだ。

普段の生活を考えても、たとえば今度行く出張先で、おいしい中華料理を食べたいと思っても、どんなお店があるか名前も知らないと、単純なサーチでは、いいお店は見つからない。ホテルのConciergeで尋ねる場合もあるだろうし、その町のことを良く知っている友人に事前に聞いておく、という場合も多いのではないだろうか。 これをインターネットで行うとすると、店の名前でのサーチではなく、FacebookのようなSNSで友人に聞いてみたり、その町の情報について、ユーザーがいろいろ評価しているサイトに行くというようなことになる。サーチを使えば、どんな中華料理店があるかはわかるが、数が多過ぎて、その情報だけでは、どこのお店に行くべきか判断が出来ないからだ。

つまり、普段の生活でも、最初からお店の名前など、探すものがはっきりわかっている場合より、人から評判などを聞いて行動を起こす場合のほうが多いといえる。 それがFacebookをはじめとするSNSの広がりにより、インターネット上でも本格的に行われるようになってきた。SNSが面白いウェブサイトやお店などの情報交換の場として、大きな役割を果たしはじめたのだ。こう考えると、「FacebookがGoogleを越える」というのも、納得できるのではないだろうか。

一般の人が使うSNSとしては、以前MySpaceが有力であったが、2005年7月にメディア大手のNews Corpに買収されたあたりから人気が落ち、Facebookが今や大きくリードしている。しかし、ビジネスの世界ではLinkedInのような別なSNSが使われていたり、特定の業界、テーマ等にもそれぞれブログを含め、いろいろなSNSが存在する。また、一般的な使い方でも、Twitterが、Facebookとは別なマイクロブログというジャンルで大きく伸びている。Facebookだけが重要なSNSというわけではない。

FacebookがMySpaceにとって変わったように、今後別なSNSがFacebookを越える可能性ももちろんある。これに対し、Facebookの創始者であり、CEOのMark Zuckerberg(25才)は、そのようなことがないよう、会社のコントロール権が失われないように株の発行にも制限を加え、また株式上場すれば大金持ちになることは間違いないのだが、上場を急ごうともしていない。むしろ先伸ばしにしている。

ただ、SNSにもいろいろと問題はある。Facebookに限らず、SNSは普通のサイトと異なり、個人のプライバシー問題や、他人や会社への誹謗中傷、犯罪への利用などの問題が起こりやすく、今後さらにSNSが発展していくためには、このあたりの解決(完全な解決は無理だろうが、許容可能な範囲までの解決)が必要となる。実際、Facebookも2007年に開始したBeaconプログラム(友人がどこで何を買ったかがわかるもの)でプライバシー問題が指摘され、変更を余儀なくされたし、新たにSNS市場に参入しようとしているGoogleがGoogle BuzzをGmailサービスの一部としてこの2月に始めたが、頻繁にEメールのやり取りをしている人達を自動的に「友達」として登録し、外の人にも見えるようにしてしまったため、プライバシー問題で世の中の非難をかなり浴び、変更を余儀なくされたことは、記憶に新しい。

しかし、いずれにしてもSNSが人々の中で重要度を増していることは間違いないし、ビジネスにとっても無視できる存在ではなく、social-media optimizationが重要な課題となってきた。SNSでトップに立つFacebookの発展は今後も続き、いろいろな領域でGoogleを越えていくことは間違いないだろう。

(04/01/2010)


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