ウェブで重要な役割を果たしたソフトウェア

最近読んだ、米国の雑誌記事に、“What’s The Greatest Web Software Ever Written”というタイトルのものがあり、なかなか面白かったので、今月はこの記事の紹介と、そして、同じ内容の、私版を書いてみたい。

記事を書いたのは、Charles Babcockという人だが、以下の12が彼の選んだ、優先度順に並べたGreatest Web Softwareだ。
1. Apache
2. AltaVista
3. Craigslist
4. The Well
5. eBay
6. Amazon.com
7. XMLHttpRequest object set
8. Wikipedia
9. World Of Warcraft
10. Hotmail
11. Digg
12. AOL Instant Messenger

皆さんはこれらがどんなものか知っているだろうか。また、その中で実際に使っているものは、いくつあるだろうか。私は一応それぞれがどんなものかはわかるが、この記事を読まずにウェブで重要なソフトウェアを上げろと言われても、出てこなかったと思うものも、いくつかある。

実は上のリストには、「注」を加える必要がある。よく見ると、ウェブ・ブラウザーが入っていないからだ。これは、この著者が以前、The Greatest Software Ever Writtenというタイトルで記事を書いたときに、すでに最初のブラウザーであるMosaicを第6位に入れたため、再度ブラウザーを今回登場させなかったことにある。したがって、このリストのおそらく最上位にブラウザーのMosaicがあるということになる。

このリストを見ると、ウェブポータルのYahooが入っていないのを不思議に思う人もいるかもしれない。これについては、少なくともこの記事の中では、何も言及されていない。これは単なるウェブ・ポータルで、重要なソフトウェアというジャンルには入らない、という評価なのだろうか。

もう一つ、Googleが入っていないのに疑問を持つ人もいるだろう。これについては、AltaVistaというサーチエンジンの元祖ともいえるものがリストに入っている。この記事の著者によると、GoogleはAltaVistaの経験を活かし、それにページランク・システムを加え、広告ベースのビジネスモデルをうまく採用した会社、ということになり、サーチエンジンとしてのソフトウェアの重要な部分の多くは、すでにAltaVistaに入っていた、ということのようだ。

同様に、3D関連では、先月のコラムで紹介したSecond Lifeが今、大きな話題となっているが、もともと3Dをウェブ上に広げたのは、3DゲームのWorld Of Warcraftということになる。最近ホットな仮想コミュニティについても、その元祖的なものとして、The Wellが上げられている。これは1985年にすでに存在していたものだ。

Apacheは、ある程度ウェブのことに詳しい人ならよく知っていると思う。ウェブサーバーの元祖的なもので、オープンソースとして提供されており、今でも世界で6,690万のApacheウェブサーバーが使われていると言われており、2位のMicrosoft IISの3,530万を大きく引き離している。

Craigslistは、日本ではあまり有名ではないかもしれないが、米国ではかなり有名な、米国でいう新聞のClassified Adのサイトだ。Classified Adとは、いわゆる「売ります、買います」的な個人広告だ。米国では新聞のClassified Adを見て、借家を探したり、買う家を探したり、中古車を売買したりする。これをウェブ上で実現したものだ。実は、私が今の会社Cardinal Consultingを始めるときにオフィスを探すのにも、このCraigslistを使用して見つけた。

Diggは、私はあまり使ったことがないが、これはウェブサイトやウェブ上に載っているものに対し、メンバーが良いと思うか、良くないと思うか投票し、それらの投票結果をもとにランキング付けするものである。これは、Wikipediaなどと同じく、英語で言う、Wisdom of Crowds、「大衆の知恵」とでもいえるものに頼るシステムだ。

eBayは、米国あるいは、世界の多くの国では説明のいらない有名なオークションサイトだが、日本では、確か何年か前に市場参入したものの、うまくいかず、撤退したと記憶しているので、日本ではなじみが薄いかもしれない。日本では、この分野はYahooオークションが有名であろうか。

さて、私が考えるウェブで重要なソフトウェアは、どんなリストになるだろうか。私はソフトウェアの専門家というわけではないので、むしろ、どのようなソフトウェアがよく使われているか、という観点からリストを作ってみた。また、同類のソフトウェアは、どれが元祖かというようなことは詮索せず、リストを作ってみた。

結果は以下のとおりである。
1. ブラウザー(Mosaic、IE、Netscape、Firefoxなど)
2. ウェブサーバー(Apache、IISなど)
3. サーチエンジン(Google、AltaVistaなど)
4. ポータル(Yahooなど)
5. Eコマース(Amazon.comなど)
6. SNSや情報シェアサイト(Myspace、YouTube、Mixiなど)
7. Wikiを中心としたWisdom of Crowds「大衆の知恵」(Wikipediaなど)
8. オークション(eBayなど)
9. ウェブEメール(Hotmailなど)
10. Classified Ad「売ります」「買います」(Craigslistなど)

さて、皆さんはどのようなリストを作られるでしょう?

(5/01/2007)


メディア通信トップページに戻る