インターネットで楽しむスポーツの秋

いよいよ秋晴れのスポーツの季節到来である。今年の日本の夏は、例年よりかなり暑く、最高気温や真夏日記録を更新するところも多くて大変だったので、さぞ待ち遠しい秋だっただろう。いい天気に外に出てスポーツをやる、またスポーツ観戦するのは、新たな鋭気をやしない、ストレス解消にも大いに役立つ。この秋はどんどん外に出て行って、スポーツを楽しみたいものだ。

しかし、そうそう毎日外に出てスポーツを楽しめる人ばかりではない。そこで、以前ならテレビでのスポーツ観戦となるわけだが、今はテレビだけではなく、インターネットで、さらにスポーツが楽しくなっている。

今、米国の大リーグ野球は、大詰めにきており、そろそろプレーオフに出場するチームが決まり始めている。アトランタ・ブレーブスは13年連続、ニューヨーク・ヤンキーズも10年連続である。こういった中で、日本人選手が大活躍しているのも、見ていてとてもうれしい限りである。松井(秀)は、名門ヤンキーズの4番を打ち、今やヤンキーズの大黒柱である。一方、イチローは1920年という大昔につくられた大リーグの年間安打数記録にあとわずかとせまっており、米国のニュース、スポーツ・ニュースでは、連日その状況を知らせている。この前も、別な試合の途中で、わざわざイチローのヒットを放映していたほどである。 松井やイチローの活躍ぶりを野球場で、あるいは、テレビで見れればそれに越したことはないが、それができない場合でも、インターネットで楽しむという手がある。大リーグ好きの方ならすでにご存知の方も多いかもしれないが、インターネット上で、WWW.MLB.COMというサイトがあり(MLB: Major League Baseball)、これが大リーグのホームページである。

このサイトにいくと、大リーグのすべての試合の途中経過が、リアルタイムにわかる。途中経過といっても、点数がわかるというような簡単な話ではもちろんない。誰がバッターで、誰がどこの塁に出ているか、そして、1球1球がストライクか、ボールか、さらには、それが、ストライクゾーンのどこに投げられたものか(インコース高め、等)までが画面に表示される。そして、打者が打つと、打ったボールの行き先も球場全体を表した画面に表示される。ピッチャーがバッターに投げる球だけでなく、1塁にけん制球を投げたことまで表示される。まさしく実際に試合を観戦している気分である。

ここまではすべて無料で可能なインターネットによる大リーグ観戦である。さらに生中継のビデオ画面を見たい場合には、有料だが、これも可能だ。ブロードバンドの高速回線をもっていれば、ここまでやることができる。ただし、これはすべての試合を中継しているわけではないようだ。音声だけの生中継(これも有料だが)もあり、これはおそらく全試合中継していると思われる。ファンサービスとともに、ちゃっかり大リーグはインターネットを使ったビジネスをやっているわけだ。そして、インターネットの世界であるから、日本からこのような大リーグの中継を見ることも当然出来るわけである。

実は日本の事情をよく知らずにここまで書いてきて、日本の状況をちょっと見てみると、日本のプロ野球機構のサイトには、このようなサービスは見当たらない(少なくとも、私が見た限りは、そのように見えた)。ただ、Yahoo Sportsで似たようなサービスを行っているようだ。このようなサービスをYahoo Sportsが提供するには、日本のプロ野球機構も、なんらかのライセンス料等を受け取っていると思われるが、米国のように、自らこのようなサービスを提供して儲けようというビジネス的な視点が、日本のプロ野球機構には弱いような気がする。

蛇足ながら、日本のプロ野球で、はじめてのストが行われたが、当初選手会側が言っていた、オリックスと近鉄の合併に反対してのストというのは、プロ野球球団と言えどもビジネスであり、赤字を続けることが出来ないので合併するというのは、やむを得ないことであり、それに反対してのストというのは、無理があるように思った。しかし、新たな参入希望企業があるのに、2005年からの新規参入は無理という球団側の主張は、いかにも既得権保護のための勝手な考え方で、それに抗議する意味でのストは、妥当であったと思う。これによって新規参入条件が緩和され、うまく新規参入球団が決まり、来期もセパ両リーグ6チームづつで野球ができれば、ストを実施した甲斐もあり、将来のためにいいことをしたことになると思う。

インターネットで楽しむスポーツは、野球ばかりではない。米国でもっとも人気があるといわれるフットボール(日本ではサッカーと区別するため、アメリカン・フットボールと言われる場合が多い)も、その一つである。インターネットでフットボールを楽しむのには、単に観戦するだけでなく、実際に、プロの選手を使って、自分の仮想チームを作り、仲間とリーグ戦を戦うものがある。ファンタジー・フットボール(Fantasy Football)がそれである。

簡単に説明すると、まず、自分のチームに好きなプロ選手をいろいろなチームから選んできて、登録する。フットボールはそれぞれの選手にポジションが決まっているので、それぞれのポジションに対して好きな選手を選び、チームを作る。そして、実際の試合があったとき、それぞれの選手がどう活躍したかによって、自分のチームの結果を出すわけである。これを知り合い仲間、あるいは知らない人同士で競い、リーグ戦を戦うことが出来る。

フットボールの場合、それぞれの選手に役割があり、多くの選手に個人記録が残る。たとえば、オフェンス(攻撃側)の選手だと、パスをどれくらい投げたか、成功率は、相手にインターセプトされた(相手に取られた)率は、どれくらい走ってヤードをかせいだか、タッチダウン(得点)の数は、等が、すくなくとも11人中6人のポジションに与えられる。ディフェンス(防御側)の選手でも、どれくらいタックルしたか、パスをインターセプトしたか、キックをブロックしたか等、さまざまな個人記録が残る。したがって、これら個人記録をさまざまな方法で合計し、自分の作ったファンタジーチームの成績を、他人の成績と比較して、勝負することも十分可能なわけである。

このようにファンタジーフットボールは大変面白く楽しめるので、米国では人気が高く、いくつかのウェブサイトでファンタジーフットボールを有料で提供している。インターネットだから、もちろん日本からも楽しめるので、フットボールファンは是非楽しんでもらいたい。ただし、誰が有力選手か、かなりのフットボール(NFL: National Football League)通でないと難しいかもしれない。

日本でもサッカーで、やはりYahoo Sportsが似たようなものをやっているようだが、サッカーでは、フットボールに比べて、選手の個人記録が少なく、ファンタジー・ゲームにはあまり向いていないように思う。

秋は外に出てスポーツを楽しみたいが、その時間がないときには、MLB観戦やNFLのファンタジー・フットボールも楽しんでみたいものだ。もっとも、ファンタジー・フットボールなどは、真剣にやりだすと、時間がいくらあっても足りなくなってしまう可能性もある。

(09/01/2004)


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