ウクライナ・ベラルーシ ニュース(’08年4月)


<原子力安全研究グループ ベラルーシ・ウクライナニュースより>

 チェルノブイリ22周年の4月26日、ミンスクで1000人以上が集まって集会とデモが開かれた。反対派リーダーのひとりMilinkevichは、ベラルーシ政府が計画している原発建設に反対するよう訴えた。Statkevichは、事故の発生をただちに人々に伝えなかったソビエト体制を批判した。一方、ルカシェンコ大統領はチェルノブイリ事故の記念日にゴメリ州で、原発に反対する人々は「人民の敵」であると批判した。(08/04/28)

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<旧ソ連圏の今…… >

昨年11月にWHOが発表したある統計があります。1位リトアニア、2位ベラルーシ、3位ロシア、4位カザフスタン・・・9位日本、10位ウクライナ。人口10万人あたりで比較した自殺率の順位です(ウクライナは前回調査で4位、日本は10位)。

先日ロシアで新政権が発足し、その動向に世界の関心が集まる中、日本ではロシアの経済成長について大きく報じられています。ただ、それはしばしば、日本は凋落し、新興国が世界を支配するようになるというような、結果として人々の不安を高め、ナショナリズムを煽るようなものが多いようです。実際、日本国内ではさまざまな問題が噴出し、将来に対する希望も見出し難い状況にあります。それは、「先進国」でありながら、これほど多くの人々が自らの命を絶たなくてはならないという異常な事態にも現れているでしょう。

同じように旧ソ連諸国でも、華やかさの陰で、困難な生活の中で将来に希望を見出すことの出来ない無数の人々がいます。こうした人々をいわば「見限る」ことによって、経済成長に舵を切ることが出来たとも言えるのです。華やかになる街並みや隣人の豊かになる生活を目の当たりにして、取り残されてしまった人々がどんな気持ちで暮らさなくてはならないか、想像に難くありません。
チェルノブイリの被災者も同様です。被災各国で治療や生活上の補助、優遇措置の多くが廃止・縮小されています。医療費が「無料」であっても、入院・診察に要する交通費はもちろん、医薬品や食事さえも自己負担であり、かつ自身や家族で用意しなくてはなりません。

特にロシアでは他殺率も高いままです。平均寿命も05年現在で65歳(男性は約59歳)であり、主要国の平均を大幅に下回っています。国の経済が豊かになることと国民が幸福になることはイコールではありません。

ソ連を全く知らない世代が大人になろうとしている中、旧ソ連諸国は、着実に異なる国々になりつつあります。抱える問題もそれぞれ異なり、一層複雑です。そして、その問題は足を止めて見ようとする者にしか見えないものになっています。国ではなく、現実を生きる個人を相手としたNGO活動が持つ意味は、かえって重みを増しています。

(注 この原稿はボランティアの平野さんから寄せていただきました)

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<ウクライナの慈善団体「チェルノブイリの子どもたちの生存」代表より>

・4月24日は1000人のチェルノブイリ被害者が集まった催しものがキエフでありました。

・4月26日、ローマ・バチカンのギャラリーで展覧会「チェルノブィリの子どもたちの芸術世界」が開催されました。チェルノブィリ汚染地域のオヴルチに住んでいる子どもたち10人と一緒に参加しました。運よく私たちは法王と会えました。法王は子どもたちに祝福をしました。


写真中央がザクレフスカヤさん

 

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