超音波診断装置&救急車、希望21に寄贈

報告・花田朋子


 5月初め,子ども基金から「希望21」に贈られた救急車と超音波診断装置の到着を確認し,その利用方法を指導するという目的でのベラルーシ訪問に同行した。ロシア極東からシベリア鉄道での輸送,またミンスクに到着してからの税関手続きなどに時間がかかったが,多忙な武市先生のスケジュールもあって,ある程度見切り発車のような形で渡航に踏み切った。

 幸いなことに救急車は税関手続き中だったものの,「希望21」敷地に保管されているのを確認し,超音波診断装置は利用を開始することができた。当初計画していた汚染地へ出かけていっての超音波診断実施は荷物の状況があって断念し,「希望21」に滞在中の子どもたちを診察する方に切り替えた。結果としてゴメリ州,モギリョフ州から集まった子どもたちを効率よく診ることができたと思う。診察は3棟に3グループ(各20名程度)ずつ寝泊まりしている子どもたちを順番に集め,初日は武市先生による触診を行い,翌日その中からチェックが必要と判断された子どものみを超音波診断装置によって検査するという方式をとった。子どもたちに不安を与えないよう,日本人側は日本語のみで話すなどの配慮を行ったが、こちらが繰り返す日本語のフレーズは覚えられてしまったようだ。全体として,それほど子どもたちは抵抗なく検査を受け入れたように思う。

 装置による検査では,武市先生が使用方法を「希望21」の医師にある程度示した上で,その場ではエコー図の写真を残し,終了後に写真を見ながら医師に説明するという方法をとった.これまで専門としていなかった新しい分野を学びたいというベラルーシ人医師の意欲が印象的だった。

 この他に,今後実際にどのように検査を組織していくべきかという点につき,ミンスクの甲状腺専門医らに助言を受け,「希望21」側と打ち合わせを行った。国内での各医療機関,管轄省庁との関係の調整,検査によって得たデータの扱いというのがここでの重要なポイントとなった。これからスタッフの研修、出張検診の実施に伴って新たに問題も浮上してくるだろうが、汚染地の子どもをまとまった数で受け入れてきた「希望21」の経験が活かされることを期待する。

(※基金ニュース3233を参照)


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