広河隆一講演会

「希望21」でこの夏行なった特別保養の報告会から、質問に答えて


<立ち入り禁止区域に住む人々について>

 原発30キロ圏内に住む人の数は増えていますが、他の立ち入り禁止区域に住む人たちは減りつつあります。しかし夏になると、親戚中でそこへ来るような人たちがいます。事故から時間がたって、みんなの感覚が麻痺してきています。子どもなど入れてはいけない大変な放射能地帯に、大丈夫だと言って乳飲み子までかかえて夏の期間住み着いている。人数はちょっとわかりませんが。あとは「おたずね者」です。警察から追われているとき逃げ込むのに一番いい。汚染地の村の奥に住み着いて、麻薬を栽培したりしているといいます。ときどき大規模な掃討みたいなことが行なわれたりします。

 村によっては、大変な汚染があるという理由で退避させられたけれど、後に大したことがないという判断で、村人の特に年長者が戻ってくるという例もあります。どこまでが危険で、どこまでが安全なのかという判断が、現地でたえず変化しているのです。危険性を強調すると、大変な人数を避難させなければならなくなります。食料は仕事は学校はどうするんだと、いろいろな問題がでてきますから、ある程度そういう問題を避けるために、危険レベルを下げてこの位までは住んでもかまわないということになる。そうすると今まで危ないと言っていたところが実は安全だということになってしまいます。


ニュース目次へ