広河隆一講演会

「希望21」でこの夏行なった特別保養の報告会から、質問に答えて


<行政側は規制はするけれども放任ということですか?>

 言うほど危険ではないという考えが、ベラルーシの現政治指導部の主流です。しかし現場の汚染地を管理している人達は、もっと危機感を持っています。みんなの気持ちが慣れきってしまっている今の状況は、事故後よりももっともっと危険な状態です。そういうところで非常に汚染された物が栽培され、それが持ち出される。だれもその放射能を計ったりしない。ブラーギンの高濃度汚染地帯で作られた小麦などがゴメリという大都市に出回り、流通しきった後で計ったらストロンチウムがすごいと分かった、後の祭りです。

 現在は食品の汚染問題が非常に大きいです。ベラルーシ中に蔓延してしまって、しかしそれをいちいち規制していたら、食べるものがない。ある程度の汚染地なら穀物の栽培を見て見ぬふりをして、実質的に、許可しています。汚染地を管理している人達は、中で栽培されたものが外にもち出されることを徹底的に取り締まろうとするのですが、トップの方では安全だという考えがあるために、彼等の活動は非常に厳しい状態になっています。また泥棒が蔓延しています。屋根のスレート材がどんどん外に持ち出されて、全く安全なところから運ばれたことにして売られていますので、買った人は自分の家の屋根がどれだけ放射能を帯びているかわからない。屋根はずいぶん放射能が蓄積するのです。警備責任者は、こういう問題に頭を抱えています。


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