東海村臨界事故に寄せて


 9月30日に発生した茨城県東海村の核施設での臨界事故と直後の住民に対する安全措置は、従来指摘されていた日本の原子力事業における安全対策が全く機能していないこと、また何よりも原子力行政そのものの欠陥を暴露しました。そして放射能そのものの恐ろしさを露呈しました。

 チェルノブイリとその規模こそ比較にはならないが、事故の真実が隠され続けていること、事故の原因が作業員のミスへと矮小化されていること、また事故の真実が判らないままの安全宣言。その構図はチェルノブイリと同じである。事故から13年以上すぎた今も被災地では多くの子どもたちが甲状腺ガンやその他の病気で苦しんでいます。チェルノブイリ事故から私たちはなにも学んでいないことをいみじくも再確認することになりました。チェルノブイリ原発事故から学んだことはといえば、事故が起きたとき、私たちは放射能を前にして何も為す術を持たないと言うことではなかったか。

 事故から2か月以上が過ぎた今、マスコミでの扱いは小さくなり、また事故が起こったことも人々の記憶から薄らいでいきます。しかし一方で、各地では市民を中心とした集会や勉強会が積極的に行われ、皆が真剣に取り組んでいます。チェルノブイリ級の事故が起きるまで待たなくてはならないほど私たちは愚かではないはずです。原子力行政に関わる人たちに想像して欲しい。チェルノブイリの子どもたちを自分の大切な人たちだったら。かけがえのない故郷に原発があったとしたら。


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