チェルノブイリ報告


 今年も甲状腺手術後の子どもたちのための特別保養を、ベラルーシ「希望21(ナデジダ)」とウクライナ「南(ユージャンカ)」で実施しました。例年ボランティアとして参加の佐々木真理さんが、視察も兼ねてサナトリウムに滞在し、浴衣・盆踊りなどの日本を紹介する教室を開催しました。基金を代表して、佐々木真理さんが視察した報告を掲載します。
 ナデジダでの保養は大成功でした。子どもセンターであるナデジダが青少年たちを受け入れるのは初めての試みで、スタッフははじめは心配していたそうですが、前もって入念に準備していた甲斐あってうまくいきました。滞在中の子どもたち全員が健康診断とマッサージ、水療法、歯の治療を行いました。みな3〜5キロ太り、なかには8キロも体重が増えた子どももいました。今回、汚染地に住んでいる小さい子どもたちが同時期に過ごすにあたり、ナデジダでは催し物を年齢別に行ったり、青少年たちが自主的に催し物を計画できるようにするなどの配慮をしました。
 職業訓練クラスについては、理容とコンピュータクラスは希望者が多かったのですが、英語クラスの希望者は少なかったそうです。今回の試みは初めてなので評価は難しいが、実際に将来の仕事に繋がらなくても、経験による心理的効果はあったということです。もし、来年もこのような試みを行うなら、将来の生活に役立つ技術や方法を学べるクラスを行ったらという意見が出されました。彼ら、彼女らは大学や専門学校に入学しており、既に職業を決めている人が多いため、実生活に使える技術、たとえばマッサージ、車の修理、健康に関する知識などが挙げられました。
 8月26日からマッサージと盆踊りのクラスを開きました。その他に日本についてのビデオを見せたり、折り紙教室もやりました。今回参加した子どもは11歳から14・15歳がほとんどで、初めてナデジダに来る子どもも多くいました。みんな日本のことにとても興味を持っていて、いろんな質問をしてきました。
 盆踊りは女の子だけでなく、14・15歳の男の子も参加しました。帯の結び方や踊りにとても真剣に取り組んでいました。小さい女の子たちは浴衣を着るだけで大騒ぎで、帯が結べない子どもたちに汗をかきながら結んであげていました。「日本の踊りは最高!」「浴衣は今まで見たことも着たこともないけど、きれい!」と目を輝かせていました。
 天候不順の日が続いていたため、スポーツ・文化施設の体育館はいつも多くの子どもたちがバスケットボールやバレーボールをしていました。また、施設内のホールでは、催しのない昼間は卓球場に、夜はミラーボールの輝くディスコに変身します。雨になるとこの施設は大活躍です。支援した甲斐があったと実感します。
 「日本週間」については、またやって欲しいというのがほとんどの人の意見でした。日本についてみな興味を持っており、もっと色々知りたいと思っています。今回、保養した青少年たちの大多数が満足し、また来たいとアンケートに書いていました。


「チェルノブイリのサイン」代表チホノヴァ 
■「こんなに素晴らしい保養をさせてくれてありがとう。子ども基金とナデジダに感謝しています。子どもたちからは感謝の言葉しか聞いていません。来年も参加したいという子どもはもう46人もいます。私はこのプロジェクトが今後も続くと思います。だってみんながこんなに望んでいるのですから」

ナデジダ教育係エレーナ 
■「24歳の私が19・20歳の青少年たちを担当することにはじめは心配していましたが、彼ら、彼女らがみなきちんとした大人の態度で行動し、お互い理解しあうことができたため、グループ全体が家族のような雰囲気になりました。別れるのが辛くて泣いてしまったくらい。素晴らしい子どもたちだった。また彼らにここに来て欲しいです」

内分泌医
■「手術後の青少年たちはみんな何らかの心の問題を抱えている。家では薬や病気のことを考えてしまうかもしれないが、ここでは同じ病気の者同士が理解しあって仲良くなり、とても明るくなった。職業訓練の授業も大変良かった。病気の子は仕事の機会が少ないので将来の評価にも繋がる、本当の意味での青年への支援だと思う。精神的にもよい結果をもたらしたはず」

コンピュータ教室
カメラ教室(今回、広河さんの呼びかけにニコン販売鰍謔閧イ協力いただき、デジタルカメラを寄贈してくださいました)
マッサージ教室

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