チェルノブイリ報告


 今年も甲状腺手術後の子どもたちのための特別保養をベラルーシ「希望21(ナデジダ)」とウクライナ「南(ユージャンカ)」で実施しました。子どもたちが楽しむための教室開催と視察を兼ねて二つのサナトリウムを訪問した佐々木真理さんの報告です。

   ウクライナ「南(ユージャンカ)」
   ●ベラルーシ「希望21(ナデジダ)」
   ●事故後17年の人々の今
   ●子ども基金の支援

(11月8日豊島区勤労福祉会館「チェルノブイリ報告会」での報告を朝生一也が採録し、事務局・松田が構成し、佐々木さんに確認していただいたものです。)


ウクライナ「南(ユージャンカ)」

 黒海沿岸にある保養所です。ウクライナの首都キエフから夜行列車で一昼夜の場所にあります。この保養所の一番良いところは、海がすぐ近くにあることです。子どもたちは海に行くのをとても楽しみにしています。保養所から歩いて下っていくとすぐ黒海が見えます。しかしいつでも好きな時に海に行けるというわけではありません。甲状腺の手術を受けた子どもたちにとって長い間太陽の強い光を浴びるのは健康によくないので、海に行くのは午前中と夕方の日差しの弱い時間帯に限られています。また安全も考慮して、必ず付添いの大人と一緒に海に行くことになっています。お医者さんの技術にもよるのですが、甲状腺の手術をした子どもたちの首には大きな傷跡が残ってしまいます。普段はネックの高い洋服を着たり、アクセサリーやスカーフで隠したりしているのですが、ここでは同じ手術をした子どもたちどうしですので、手術の傷跡を気にすることもなく水着姿で過ごせるのです。

 今回子どもたちの世話をする付添いとして参加した一人の大学生は、彼女自身甲状腺手術を受けていて、数年前は保養する子どもとしてここに参加していました。海の他にも付添いの大人たちが子どもたちを楽しませるために様々な催し物や、夜には野外のディスコ大会などをして過ごしています。ディスコといっても日本で一般に想像するものとはかなり違い、大人から子どもまで一緒に踊って楽しめるオープンな雰囲気のものです。

 保養期間が終わり帰る時には皆「帰りたくないよ」と言っていました。家に帰ると、畑仕事や小さい兄弟の面倒を見なければいけないなど、家の仕事が待っている子も多く、ここでの保養は本当に楽しいものなのです。

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