>ニュース No.60

ベラルーシ/ウクライナ訪問

期間2004.9.23-26  竹口素弘


ナジェジダ(希望21)10周年記念式典に出席

 訪問時は、ベラルーシ各地から保養にきている大勢の子供たちとも会い、元気に、それぞれ生き生きとして行動しているように見えました。個別にインタビューをしたわけではありませんが、ナデジダでの生活を楽しんでいるように感じました。

 保養にきた子供たちが、学校の先生だけでなく、事務担当の人々、食堂で働く人たちその他の作業の人たちとも交流が見られ、帰った後もその交流が続くものもあるとの事でした。また、同じ地域の子供同士だけでなく、他の地域からの子供たちとも交流できていて、それが結構継続しているとのことは、保養施設としての機能だけでなく、人間関係の発展ということに対しても、いい仕事を果たしていると感じました。施設で働いている方々、地域の協力者の方々、ドイツから各種資材とボランティアでの実作業をされている方々の精神と、熱意の成果だとも感じています。もちろん、子ども基金として今までいろんな形で協力されてきた方々の努力も、いい形に結実していると思いました。ベラルーシの国の体制に関しては、色々懸念されることは有りますが、他国の支援に関わる場合、避けて通れないことだとも認識しています。この問題は、その都度その時々で最善の努力をしていくしか方法が無いような気もしています。

 ドイツのボランティア団体の参加は、他国を抜いて、圧倒的な数と人員で、その根底に、ドイツの、ベラルーシに対する、歴史的な過去の事柄に対しての贖罪意識を、一般市民レベルで持っていることについて、認識を新たにしました。支援開始当初は、両者間でわだかまりが、特に受けてのほうで有ったようですが、それを乗り越えて、良好な関係を築き上げているのは素晴らしいことだと思います。日本と韓国、日本と中国及び他のアジア諸国を考えた時、温度差を感じずには、いられませんでした。もちろん日本でもいろいろな方が、これら諸国に対して、積極的に支援活動をされているのは承知の上ですが、ボランティア活動そのものに対する認識を更に深める機会になったと思っています。

 ウクライナ訪問は、公式訪問ではありませんでしたので、支援している日本センターの設備を見学したのと一部の人と簡単な挨拶を交わしただけで、特筆することはありません。

 見学後、数人で歓談中、その中の秘書の方に、ドイツから電話が掛かってきて、ドイツ語で応対をされているのを聞きその話題になったとき、秘書の方は、初めの内はドイツの支援というのはとても抵抗があった、歴史的なことについて受けたダメージをぬぐえなかったけれど、熱意のある支援をし続けてくれるので、そのわだかまりもなくなり、いつかドイツ語を勉強し始めていて、ドイツ語で応対できるようになったと聞きました。涙ぐんで話されていたのは、その間の経過がかなり大きな心の葛藤であったのだなと感じました。こういったことの積み重ねによる相互理解が、平和維持という方向には大事な要素だという感じを強くもちました。


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