ベラルーシ「希望21」 2005年医療検査報告



「希望21」には年間を通して汚染地に住む子どもたちが健康回復のための保養に訪れます。1回の保養は24日間、2005年1年間で3,155人の子どもが訪れました。子ども基金はこれまでに診断機器と救急車を贈り、その後も検査用消耗品類や医師の給料などの支援を続けています。

◇ 保養に訪れた子どもたちの住む場所 ◇

ゴメリ州:ゴメリ市、ホイニキ市、モーズィリ市、レチッツァ市、ドブルーシ市、レリチツィ市、ロガチョフ地区、チェチェルスク地区、ナロヴリャ地区、ブラーギン地区、エリスク地区、ヴェトカ地区、ブド・コシェリョフ地区、ホイニキ地区
モギリョフ州:ブィホフ市、スラヴゴロド市、チェリコフ地区、
ミンスク州:ミンスク市、ヴォロジン市、ソリゴルスク市、モロデチナ地区、ストルフツォフ地区
ブレスト州:ルニニェツ市、ドゥロギチン市、ストーリン地区
ヴィテブスク州:ウシャチ市、チェシニキ市、ポロツク市

◇ 検査実施期間:2005年1月〜12月 ◇

1.施設内での検査
超音波診断装置:2005年14期の全期間中に保養に訪れた3,155人の子どもたち全員が、内分泌医の診察を受けた。そのうち1,847人の子どもに甲状腺の異常(甲状腺形成不全、甲状腺過形成、自己免疫性甲状腺炎、結節性甲状腺腫など)が認められ、超音波診断検査が必要と判断された。検査の結果、612人には今回の検査により初めて甲状腺の病気が発見された。子どもたちの住む地域の公的医療機関に渡すために、検査結果と今後の治療についての書類が引率者に渡された。チェルノブイリ被災児童のためのリハビリ・保養センターの規定により、2002年7月より内分泌医の診断後、超音波診断装置による検査が行われている。
心電図測定:757人検査のうち64人に異常が見つかった。
肺機能診断:72人のうち45人に異常が見つかった(各人にリハビリを行った結果、異常が見つかった全員の51%にあたる27人に改善が見られた)。
自動角膜屈折測定:436人のうち424人に異常が見つかった。うち280人の視力の弱い子どもたちには、検査結果に基づき矯正用レンズが正確に選ばれた。

2.出張検査
実施期間:2005年9月26日〜9月30日
ブレスト州ストーリン市 286人が検査を受けた。検査を受けた全員には、検査結果と今後の治療方針が書かれた書類が渡された。
@ストーリンTMOでは主に1977年〜1986年生まれの甲状腺ガンの手術を受けた51人、その他は内分泌病の25人を検査した。
Aストーリン市カレッジでは、1985年〜87年生まれの学生(19〜21歳)と教師、合計210人の検査をした。結果は結節性甲状腺腫(7人)、汎発性非毒性甲状腺腫(29人)、自己免疫性甲状腺炎(35人)、卵巣機能障害(6人)、その他の内分泌病(12人)。
 
各検査機器は正常に機能し、使用中に何の問題も起きなかった。希望21の医療活動における、子ども基金から贈られた医療設備の重要性と、健康回復のための子どもたちの保養の必要性を、我々は改めて感じている。今後とも子ども基金と協力していくことを望んでいる。(医療リハビリ部門 主任 チャエフスカヤ)

<キエフ「家族の救援」医療センター報告>

子ども基金が医療機器を贈りスタッフの給料を支援している医療センターの2005年7月〜12月に実施した検査の報告。

超音波検査:526人(うち子どもは358人)が検査を受けた。57人の子どもに病気が見つかった(1年間では109人)。そのうち甲状腺の病気の子どもは24人だった。下記を含む109人に病気が発見された。
○ 甲状腺過形成 28人
○ 甲状腺形成不全  8人
○ 自己免疫性甲状腺炎、結節性甲状腺  14人
○ 婦人科病  4人
○ 胆汁ジスキネジア 36人
○ 胆のう症 7人
○ 腎臓病 8人
○ 乳腺症 2人
○ 甲状腺機能低下症 4人
心電図検査:150人中9人に異常が見つかった。
内視鏡による腹膜腔検査:12歳以上の29人の子どものうち、9人に胃の異常(慢性胃炎、胃粘膜糜爛)が見つかった。
放射線測定器:936人(うち子ども712人)のうち、22人の子どものセシウム137が3NNキュリー以上だった。その子どもたちには治療方針や、食事など日常生活での注意を伝えた。
歯科:103人の患者(うち39人が子ども)の治療が行われた。
薬局:150家族が訪れ、パンパース・歯磨き粉・ステッキなどの人道支援物資が渡された。540家族には注射器が渡された。(医療センター長 L・プリレプスカヤ)

<現地団体スタッフからこの冬の天候情報>

この冬の様子です。ウクライナ、ベラルーシとも今年はとても寒かったようです。

キエフはマイナス25度です。オフィスの部屋の中もとても寒いです。子どもたちは寒さのために学校に行けません。日本はどうですか。(2006.1.26 ウクライナ キエフ市 子ども基金キエフ事務所 スタッフ Y.スヴェトラーナ)

本当にこちらの天気は予想がつきません。こんな厳しい寒さをしばらく忘れていました。部屋の中もとても寒かったのです。子どもたちは数日間学校へ行かなかったほどです。今は少し暖かくなってきています。雪混じりの雨が降っています。でも必ずまた厳しい寒さが戻ってくると言われています。このような激しい気温差と免疫力の低下のために、人々はインフルエンザにかかり始めました。うちでもすでに夫が病気になり、今日は熱が出ました。いつも私たちのことを気遣ってくださってありがとうございます。(2006.2.2 ベラルーシ・ゴメリ市「困難の中の子どもたち」代表 P.ワレンチーナ)

今こちらは本当に寒くなりました。昼間の気温はマイナス20度です(ミンスク市内で)。1月末には本当に寒くて、私たちは数日間仕事に出かけることもできませんでした。停留所でバスを待つことができないほどのひどい寒さだったからです。幼稚園や学校もお休みになりました。休日が数日増えたので、子どもたちにはうれしいことでした。私たちの団体へのあたたかいお心遣いに対し、改めてお礼を申し上げます。(2006.2.7 ベラルーシ・ミンスク市 「チェルノブイリのサイン」副代表 N.リリヤ)


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