チェルノブイリ20年キャンペーン ・ 写真展
In 東京芸術劇場


おかげさまで盛況のうちに終了しました

1986年4月26日、チェルノブイリ原子力発電所で史上最悪の事故が起きてから20年目の今年春、チェルノブイリ子ども基金は、ベラルーシで「広河隆一写真展」を開催しました。49回の取材の中で、撮り続けてきた「消えた村」や「病気の子どもたち」の写真40枚を、首都ミンスクと被災地ゴメリで行われた「チェルノブイリ20年国際会議」の会場で展示しました(その模様は基金ニュース65号に掲載)。写真そのものは今までも「写真集」や国内の「写真展」で目にされた方もいらっしゃったでしょう。しかし、ベラルーシと同じ90cm×60cmという大きなサイズの写真は今回が国内初展示でした。

来場者は1週間で約1500人。これは予想を超えた人数でした。12月というチェルノブイリとはあまり関係のない時期、どれぐらいの人たちにきてもらえるのか、いささか不安ではありましたが、なんと言っても池袋という繁華街で駅に近い会場という地の利。また東京芸術劇場は大ホール、中ホール、小ホール、大展示場といくつもの会場で連日催しものが開かれており、そちらのお客さまが立ち寄られたりしたケースも多くありました。その結果、チェルノブイリのことを今まで知らなかった人たちに見てもらうことができました。

夏のころより宣伝に力を入れましたが、意外なほどメディアがとりあげてくれました。朝日、読売、毎日の3誌が写真入りで扱ってくれました。東京新聞、雑誌、ミニコミに掲載されました。共同通信が配信した記事を地方紙が掲載してくださり、遠く、高知・新潟・中国各紙を見て来た、という方が数人ありました。「国会行動」に参加された折などに寄ってくださったのですが、新聞に掲載されなかったら写真展には来られなかった方々です。さらに初日、NHKの取材があり、広河さんへのインタビュー・写真の紹介など、翌火曜日夕方の「首都圏ニュース」で放映され、大きな反響がありました。

また、1週間の写真展期間中、搬入・搬出・受付当番に、たくさんの人たちがボランティアとして写真展を支えてくださいました。初日に行われた広河さんの講演会にも多数参加していただきました。

みなさまありがとうございました。これからもどうぞよろしくお願いします。


【写真展感想ノートより】

□大学で環境問題を学んでいますが、大事なことは何も教えてくれません。だから、自分で行動を起こさなければならないのですが、多くの人々が忘れていまいそうなことをこれからどんどん知っていきたいと思います。「忘れる」ことと「知らない」ことは怖いですね。 (大学2年生)

■僕はまだ中学生だから、チェルノブイリ原発事故が起こったときは生まれていないのだけれど、この事故の悲惨さはわかる。1986年といえば、冷戦も終わりを迎えているころで、当時の人々にとっては、戦争のない明るい未来に目を輝かせただろう・・・・・

□その時期でこの事故は、あまりにも可哀想だ。当時の子供たちは、「家がない」と言い、さらには「わたしの番が来たわ…」と、また一人甲状腺ガンの被害者となったりと、僕たちには想像できない話である。僕たちはただ「受験だ」ということだけで悩み騒いでいるが、世界の子供たちと比べたらどうだろう。と言うより、誰も比べようとしない。それではダメである。世界を知ることによって、少なからず自分の気持ちに変化が出るはずだ。僕だって、今の自分の暮らしがどれだけ幸せなのか、再認識した。そしてこの世界の不公平さに不満を感じ、憤りさえおぼえる。裕福な国の、他国への支援が少ないのではないか。このように、他の人(子供も)も世界のようすを知ってもらいたい。そうすれば、人々の視野は世界にまで広げられ、今の世界よりはるかに良い世界になるのではないか。そう考えなければならない役割を持つ国は、やはり先進国であり、世界第2位の経済大国である日本ではないか。人々の意識を高めることこそが、今必要不可欠なのではないか。 (中3男 Mさん)

■7〜8歳だっただろうか、学級文庫にあった絵本(原爆の)で知ったばかりの単語を、たぶん学校の児童向け新聞に見つけて、訳もわからず首を傾げて記事を読んだ。“放射能”という怖いものが、どこかにあるらしい、どこかで出たらしいと、燃える建物の写真を見ながら立ちつくしたことを、おぼろ気に記憶している。私と同世代の現地の方たちは、今もその怖い怖い、目に見えないものの中で、懸命に生きておられるのだろう。あの時、立ちつくした私の心に残った、冷たい、恐ろしい気分を忘れずにいたい。(無記名)

□この事故が起こったとき、小学生でした。急に「イクラや北欧でとれたものは放射能で汚染されているから食べてはダメ」と母に言われたのでよく覚えています。20年たった今でもこんなにも人が苦しみ、これからの世代にもその痛みが伝わっていく…こんなにも見えているのに、東海村や六ヶ所、どうしてまた(まだ)くり返す恐れのあるものをわざわざ作るのでしょう?何が一番大切なのか、日本をはじめ世界の政治家はもう一度考えてほしいです。日本に暮らす私たちも、決して人ごとではないこの問題にしっかりとりくんでいかなければなりません。とりあえずは六ヶ所の本格稼動を止めようと思います。力強い写真ばかりでした。ありがとうございま
した。 (女 Tさん)

■会社の昼休みに何気無くこの展示会へ立ち寄ったのが2日前。初めてこの展示写真をみた時の驚きが忘れられず、今日再び来た。チェルノブイリの原発事故の話は知ってはいたが、この写真展をみてその現実の空気にふれた気がした。この展示会も今週で終わるが、この強烈な印象は私の中から消えることは無いだろう。自分にできることで少しでも、被災者の方々の力になれれば、と思う。このように気付かされる機会を与えて下さり、ありがとうございました。(男 Sさん)

【講演会参加者の感想】
□原発の恐ろしさを改めて思い知った。今、日本の中で再処理、プルサーマルがどんどん進められようとしているが、あまりにも、人々の関心が低いと思う。事実をなんとかしたい。 (女 Nさん)

■本当につい最近まで世界で起きている様々なことを全く知りませんでしたし、興味もありませんでした。「世界の戦場から」シリーズの本をふとしたきっかけで見てから、自分の中でいろいろなことがひっくり返りました。今まで政治にも報道にも全く興味がない、ただ音楽だけやってた限りなく無知な人間ですが、もっと知りたい、勉強したいとこんなに強く感じたのは生まれて初めてでした。(男 Uさん) 


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