農と言える日本・通信 No.24  2000-04-13      高野 孟


●鴨川自然王国トラストがスタートします!

 4月8〜9日の鴨川集合は、土曜日は森林作業もそこそこに明るいうちから嶺岡山系の林道に繰り出して花見大宴会。そのまま本拠地の山賊小屋に戻って、延々、一番遅い人たちは午前3時半までサウナに入ってビールを飲んでいたという有様。それでも日曜日は8時半から昼までみっちり森林作業を行い、昼に解散した後も藤本と高野はさらに作業を続けました。金沢市を本拠とする出版社ケーシーシーが5月下旬に創刊する新雑誌『田舎情報』の中園康生編集長もカメラマンと共に来訪、取材をして頂きました。

 この機会に、鴨川自然王国・棚田&大豆畑トラスト世話人会が開かれ、実質的なスタートとなる4月18日東京・銀座でのトラスト説明会の段取りを中心に協議しました。確認事項は以下の通り(「自然王国トラストだより」No.2より要約)。

(1)当初、棚田3反を30口でトラスト予定だったが、40人以上が参加を希望しているので、急遽4反に拡大することにする。4月12日現在の振込確認者は34名。

(2)使用する棚田は福井さん1反、石田さん3反を提供して頂き、「米糠農法」を試みることにする。

(3)大豆畑は1反を30口でトラスト予定で、12日現在振込は36口。

(4)5月6〜7日の田植えにトラスト会員や農作業ボランティアが家族連れでドッと人が集まることが考えられるので、青少年センターを予約し、王国の施設と合わせて70人程度まで対応可能な態勢をとる。田植え参加希望者には4月20日までに王国に電話・ファックスで届けて貰う。

(5)世話人会のメンバーは、棚田トラスト案内に載っている「音頭取り」5人と、大豆畑トラスト案内の「懲りない面々」5人のほか、参加希望者で構成する。

(6)4月18日6時から、東京・銀座の東洋精米機ビルで開かれる「説明会」では、トラストの意義、王国の現状、年間の日程、約束事などを報告し、自由討議する。そのあと近くの店で懇親会を開く(会費3000円程度)。

●十勝リバティファームの馬たちに“預託助成金”が出ます!

 われわれが野外乗馬を楽しませて貰っている帯広郊外「リバティファーム」には、平林英明さん所有の馬が4頭いて、もう何年か前にそこを乗馬クラブとして運営するのをやめてしまってからは、平林さん個人の負担で飼育している形となっていました。が、今回、札幌を本拠とする「社団法人・北海道うまの道ネットワーク協会」の後藤良忠専務理事にお世話いただいて、同協会の「馬預託助成金」制度に従って飼育料の一部助成を受けることになり、すでに申請を完了しました。

 同協会は、北海道に車の道や人の道とは別に「馬の道」を張り巡らせて、生活に根ざした馬の文化を再興しようという趣旨でいろいろな活動を続けており、われわれもリバティファームに集う東京人・十勝人らの集まり「十勝渓流塾」としてそれに団体加入しています。その活動の1つが、乗馬愛好家が北海道の牧場に自分の馬を預託する場合に一定額が助成されるというこの制度です。この手続きのために、4頭のうち「夢」という名の馬は私が“無償譲渡”を受けた上で改めてリバティに預託する形をとりました。便宜的なこととはいえ、これで私も「北海道に馬を持っているんだよ」などと自慢してしまうことも出来るわけです。

 後藤良忠さんは、帯広に勤務している時代にリバティファームで乗馬にいそしんで、のちに役所を辞めて会社勤めをしながら全くのボランティアでこの協会を立ち上げた方で、われわれが帯広に行くといつも札幌から駆けつけてくれます。5月16日には、うまの道ネットワーク協会の年次総会があり、私が「私と北海道と馬」というようなことで講演をさせて頂くことになっています。たぶん、平林さんら十勝人の方々何人かも札幌で合流し、平林さんが3月に小樽に開いたレストラン「ランチョ・エルパソ」の支店になだれ込むという段取りになるのではないかと予想されます。この時期、札幌近辺におられる方はご一緒にどうぞ。

 次の帯広集合日は5月26(金)〜28日(日)ですが、すっかりリバティに半定住化しているロック歌手シゲルは、何と4月末から連休を挟んで5月末までリバティに滞在しますし、またこれもまた半定住者である後藤文夫さん(富士写真フイルム)は連休に小樽の支店を手伝いに行くそうです。集合日は都合が悪いという方も、お好きな時に帯広を訪れて下さい。ただし現地の受け入れ態勢の問題があるので、平林さんとよく相談して頂くようお願いします。

 なお後藤文夫さんは、年末年始の約2週間に続いて3月にも1週間帯広に滞在し、その間に小樽の方も訪れて、次のように報告をしてくれました。「小樽にエルパソが支店を出したので見に行ってきましたが、マイカル小樽内の大きくて綺麗な店舗でした。マイカル小樽は先日テレビで取り上げていましたが、人は入るが売り上げが上がらないと言っていました。本当に人は多いが実際に食事をして行く人が少ないようです。マスター(平林)も札幌にマンションを借りたので、これから力を入れて頑張るようです。私もゴールデンウィークにはお手伝いをして少しでも売り上げに協力しようと考えています」

●“20世紀人”は思い違いをしていた?(ロサンゼルスの北岡さんより)

 読売新聞記者から横路孝弘秘書を経てロス移住した私の先輩ジャーナリスト・北岡和義さんからお便り。ロスで長年、日本語の週刊テレビニュース番組を制作し自らキャスターとして出演していますが、なかなか大変な様子。昨年の蛍の季節に鴨川にご一緒しましたが、5月の田植えに是非ご参加下さい。

「通信No.22を読んで同感です。過日、貴兄に連れていってもらった鴨川自然王国で目撃した蛍飛び交う田園と棚田を思い浮かべながら、われわれ”20世紀人”は何か思い違いをしていたのではないか、と考え込んでいる次第。小生も滞米生活20年を越え、さて21世紀をどう迎えようか暗中模索している中、スポンサーは落ち、売上が減少、従って会社の赤字は増え続け、最早、倒産は時間の問題、となりながら、この時代激変に生き残る方策を考えています。貴兄の小論に触発されて、『21世紀の迎え方』を議論に遡上に乗せると面白いね。4月下旬、帰国します。4月末〜5月上旬の鴨川の作業スケジュールは?」

●渡辺英理をよろしく!(元上司の宗像さんより)

 プレジデント社を退職して鴨川自然王国事務局に勤めるべく移住準備中の渡辺英理ちゃんですが、新人に仕事を引き継ぐのに手間取って、本格定住は5月からになりそうです。その英理ちゃんの元上司で現在は企画編集部の宗像良保さんから次のメールがありました。宗像さんは、インサイダー創刊当時(25年前)からいろいろご協力を頂いてきた、高野と古い付き合いの編集者です。

「宗像です。いまインサイダーNo.447の“農的生活”(本通信No.22と同じ高野原稿)を楽しく読んでいます。小生も、60歳から「田舎暮らし」を始めるつもりで、準備中ですが、小生の場合は、生まれ育った実家に帰るだけですから、家も、畑もあるし、山は借りるつもりでいるので、気楽なものですが、貴兄の自宅も鴨川の過疎村に移すという“決心”には感服しました。この“農的生活”シリーズを今後も続けてください。それから、当社の渡辺がそちらにお世話になるとのこと、よろしくお願いいたします」

●『定年帰農・パート2』が発売されました!

 農文協の「現代農業」増刊『定年帰農・パート2/100万人の人生二毛作』が4月10日に発売となりました。高野が本通信No.22に掲載した原稿を書いているほか、連合の社会政策局長・高橋公さんが「100万人故郷回帰運動」について、鴨川にも来たことがありトラスト会員でもある「ふるさと情報館」代表・佐藤彰啓さんが農地の取得・転用の実際について、書いています。ほかにも、さまざまな形態や回路で“農的暮らし”を追求している実践的な例が40件近くも載っていて楽しいです。是非お求め下さい(定価900円)。また4月15日夜10時15分〜11時、NHKラジオ「土曜ジャーナル」で「21世紀は農業の時代」という特集が放送され、高野が出演するほか、上記「現代農業・増刊」の甲斐良治編集長なども登場します。             ▲