農と言える日本・通信 No.3 1999-07-20   高野 孟

▼「農と言える日本」というタイトルがいい、と感心して下さった方がいましたが、実はこれは『日経ビジネス』5月3日号特集のタイトルの盗用です。ただし、この特集は、やや企業サイドから見た農業・食品分野のビジネス・チャンスという話に偏っていてイマイチでした。



《リスポンス特集》
●No.1で習志野市の秋津小学校を舞台とした岸裕司さんらのコミュニティ活動についてお知らせしたところ、次のリスポンスがありました(なお、リスポンスは勝手に要約・公開させて頂きます。支障がある場合は予め非公開の旨を明記して下さい)。

◆岸裕司さん(秋津コミュニティ会長)
 秋津にいらっしゃる日を楽しみにしています。できれば土曜日の午後がお父さんたちと「イッパイ」やれます!
では、アディオス!アミ〜ゴ!モンゴル土産話を楽しみにしています。

◆鳩山由紀夫(衆議院議員)
 高野孟様
 農に関する様々な挑戦に心から敬意を表します。
 今日は私の高校の同級生の話しをします。小石川高校の同級生に大村裕子と言う女性がいます。カリフォルニアのサクラメントでシュタイナー教育を学び、そして特に日本人にシュタイナー教育を教えています。ちなみに彼女の息子が民主党の職員になっています。昨年サクラメントから帰国し、北海道の伊達市にシュタイナー教育の実践をしたいと仲間達数名と移り住み、「ひびきの村」を作りました。おかげさまで農家のおばあちゃんに世話になり、牛小屋の脇に小さな家を改築して、「幼稚園」にしたり、バイオダイナミック農業を実践していました。私の秘書だった小久保君も一家(妻と二人の子供)で移り、シュタイナーの勉強をしています。みんな働きながらなので大変そうでしたが、少しづつ全国から人が集まってきているようでした。日本の教育システムも変化の兆しが見えるので、このような教育にも将来認知がされる日が来るかもしれませんが、なかなか前途多難そうでした。
 もし、高野氏に興味を持っていただけたら有難いと思い、ご案内した次第です。一度見学に行って頂けたらと存じます。由紀夫

◆蓮舫(パーソナリティ)
 秋津小学校の話は興味深いです。今、私はスカイパーフェクトチャンネルで高齢者や障害者を対象にした番組の司会をしていますので、参考にさせていただきたいです。スタッフの耳にいれてみますので取材させていただきたい!となるかもしれません。おもしろい情報をありがとうございます。

◆篠塚恭一(エスピーアイ社長)
 乗馬ライフ買ってきました。やっぱりモンゴル、いえ帯広へいきたくなりました。
 先日てんかん患者を持つ家族のハワイ移住計画の視察に同行した際、偶然セール中の靴屋でみつけた作業靴。これが乗馬にぴったりの革ブーツでして、なんで常夏のハワイで皮のブーツなんか買ってんだろうと思いながら、しかも荷物としてはかさ張るのでスーツに皮ブーツという風体。周囲はとうぜんハワイかえりのみなさんですから私一人ういてました。しかしながら、そんな視線が全く気にならなくなってきている自分に、だいぶ馬に魅せられてしまったなと感じております。

> 学校をこういうふうに使いこなすというのは面白くて参考になる。学校が鍵を地域に預けて
>しまっているというのがすごいです。一度見学に行きたいと言ってあるので、希望者は一緒にどうぞ。

 うちの倶楽部も、廃校となったしまいましたが渋谷小学校の教室を借りる契約をしました。いろいろやってみようと考えていたところなので予定が合えば参加させていただきたいと思います。お手数ですが、決まりましたら、是非御連絡下さい。

 もう10年近く前になりますが、福祉関連サービスの視察旅行でパリのケアシステムを訪れたことがあります。御承知のとおり欧米では共働きの夫婦は当たり前で、そのために子供から高齢者や障害者移民、難民などなど様々な人を対象にケアサービスが社会インフラとして存在してました。私たちがデファンス地区(新凱旋門)のナンテールにある小学校を訪問した時のこと、出勤前からあずけることのできる便利なチャイルドケアサービスが学校に併設してあるのですが、なんとそこの先生役をアフリカからきた移民(難民?)女性が担当してました。そして、白やら黒やらいろいろいる子供達にアフリカの言葉や文化を教えているのです。
 さらに学校が休みの水曜は、終日Pアになるのでお昼御飯にアフリカの料理を子供達と作ったりして、彼等の生活習慣や文化をおしえているというのには、ちょっとしたカルチャーショックを受けたことを思い出します。ところ変われば違うモノです。日本も時代が変わるこの時期、根本的な発想の転換というか、ただあるべき基本にかえるというのかいずれにせよ、変えるチャンスだと感じます。
▲篠塚さんは、十勝にも鴨川にもそれぞれ数回来ている常連。障害者の旅行・レジャーを企画する仕事をしています(高野注)。

●No.2の「電脳楽市・食と農」の提案に対して……
◆藤本敏夫(鴨川自然王国代表)
 面白いと思う。どのように具体化するか、コストや人員、代金決済の仕組みなどについて具体案を出して欲しい(口頭)。

◆新井欣三(はじめ亭主)
 「顔の見える範囲」というのはいいと思うが、それだと、単に仲間内だからというだけで必ずしも「一流」として推薦できないものもメニューに入れなければならないという問題が起きないか(口頭)。

◆鈴木英幸(自治労局長)
 電脳楽市、とても面白い提案だと思います。年商1億は当面無理だとしても、あまりに市場経済に毒されてしまった現代人にとって一つの転換の契機になるのではないかと思います。
実は、私、最近しばしば上総の実家に行っていますのは、山の手入れもさることながら、すでに、耕作放棄になってしまっている故郷の田畑を見るにつけ、いまこれを何とかしなければ取り返しの付かないことになってしまうという、焦りにも似た気持ちがこみ上げてきて、どうしたらうまく行くのかを、兄貴と相談したり、情報を集めたりするためです。
取り敢えず、何反歩かの畑に、あの里芋を植え付けたらどうかと考えたのですが、これを電脳楽市に提供すれば多くの人に喜ばれるのではないでしょうか? その他、考えればいくらでもやれることは在ると思います。
いずれにしても、広く会議を興し、、、、で、近いうちに飲み、、ではなく議論しましょう。

◆平林英明(ランチョ・エルパソ主人)
 電脳楽市 メールいただきました。大変面白い計画だとおもいます。僕は、喜んで協力いたします。高野さんの企画は、いつも先進的でそして人間的な身近さを感じます。
 いつでも、高野さんの仲間に入れてください。僕らの仲間は、皆ついてゆきます。平林より

ハ◆大塚滋(旭油脂社長)
 ご連絡いただいた「電脳楽市・食と農」は直感的に面白いと思います。具体的にはどんなスタートになりどんな展開になるかイメージが描けません。でも全体的には賛成です。(大塚は世間で言う「総論賛成各論反対」かな?と思われそうですが、そんな事ではなくこれから、自分にも他人にも納得できる、イメージが描ける企画書づくりが出来ればと思います。) 

 その時に是非踏まえたいコトは既に高野先生が描いておられるように藤本さんが主張されている「21世紀・農的生活」が核・中心に有ると理解いたします。(FAXされたと言う図が私のところには来ていないようなので手探りでイメージしてます。)その核に対してこの「楽市」がどう位置づけられて機能を果たしていくのかを考えていく事になると思います。

 信長の「楽市楽座」でも、それへの思いや意図が強烈に先ずあり、その意図に沿って、ふさわしい仕組みやり方が考えられ組み込まれたかと思います。

 また、事を興すとき先ず考るのは「誰がために?」と言うことでしょうか。勿論自分自身のためが最初ですがその次は「子、孫、ひ孫、ため、更に出来るだけ多くの日本人、もっと広げてアジア人、すべての人類の未来のためにとなるのかな?」と夢想してます。そんな風に話を広げていくと断然やる意欲がふつふつと湧いてきます。

 ですから、「(4)受け身の消費者であるだけでなく、能動的な行動者になるように進める方向」は大賛成です。そのためには双方向のコミュニケーションでは足らず、ネット・コミュニケーション(?)が出来るような仕掛けが出来ればと思います。(具体的にどうやるか知恵を出さないといけませんが・・)

 藤本さんの肖像入りの「鴨川ドル」はちょっと勘弁してください。高野さんはパロディーのつもりで言ってられるのかと思いますが・・。確かにあの方にはカリスマ性を感じますがそれ故に偶像化は止めた方が良いと。

 この「高野構想」をこれ是非やってみたいですね。私に出来そう、あるいはやってくれとのコトあれば何なりと言ってください。お願いします。私もこれに関して思いがそれなりに形なって具体的なご提案が出来るように心がけたいと存じます。

追伸-1:藤本さんが進めらているとききます「有機農産物の認証機関」は是非やっていただいて、その商品を利用する人の安心を確かなものとしたいと考えます。

追伸-2:先週十勝の広洋牧場に、ちの松田顧問が行ってきました。我々の種蒔きの後追加の種蒔きをしたらしいのですが、機械が今一で上手く作付け出来てないとの報告を受けてます。手直しをしてきたらしいですがどれほど修正できたかが心配です。

▲鴨川関係者はまだ余りご存じないと思いますが、大塚さんは旭川にある味の素の子会社=旭油脂の社長で、北海道の大地に根ざした素材で「ひまわり油」や「ひまわりバター」、練り芥子などの素晴らしい製品の開発・販売を進めています。ひまわりを農家に作ってもらっても反あたり3万円で買い上げるのが精一杯でなかなか協力してもらうのが大変だ(だから何もかも輸入原料になってしまうわけですが)と言っておられてので、ランチョ・エルパソの平林さん、そのお隣の広洋牧場の和田さん、藤本さん、それに高野らが相談の上、広洋牧場200町歩の一部に数町歩の「ひまわり畑」を(採算抜きで)作ろうという計画が始まっています。上の追伸-2はその関連です(高野注)。

 長くなったので本日はここまで――。



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